英語の語彙を増やす正しい勉強法はあるのでしょうか。英語のボキャブラリーを忘れない様にしっかりと覚える勉強法を、今回はまとめます。
受験勉強であんなに時間をかけて覚えた英単語が、今ではほとんど記憶に残っていない悲しい現実。日本語では昔覚えた単語は時間が経ってもなかなか忘れていない事実と比較すると何か根本的に違う勉強法をしているのかもしれません。
日本語がネイティブの私達には、小さい頃に知らない内に身につけていた能力があります。平仮名やカタカナ、そして漢字を覚えたり、親が絵本等を読み聞かせしてくれた事で、音と文字との関係性を知らない間に覚えていきました。音と文字との関係性を身につける事は、語彙習得をする際にもっとも大切な能力だったのです。英語でも同じです。
今回は、アメリカの小学校等でも広く行われている方法で、しかも将来もしっかりと使える英語の語彙習得の正しい勉強法を紹介します。
この記事の目次
英語の語彙習得で覚える2つの知識
英語のボキャブラリーを増やす際には、大きく分けて2つの知識を身につける事がとても大切になります。それが、一般的知識と個別知識のふたつです。この両方があることで総合的な語彙習得の能力が付きます。実は、日本人の私達は主に個別知識だけに注目して語彙習得に時間をかけて来ていました。英語のボキャブラリーを使える知恵にするために、語彙習得のもうひとつの一般的知識を付ける事で完璧にする事ができるのです。
一般的知識とは?
英語ではgeneral knowledgeと表現されるこの能力は、英語の綴りに関する能力です。音と文字との一般的な関係性を覚える知識です。初めて見た単語や綴り方の知らない単語があっても、予測して書ける様になるために必要な知識です。私達がまったく知らなかった知識です。
個別知識って?
英語ではspecific knowledgeと表現されるこの能力は、個別の単語に関する知識の事です。私達が単語テストなどで辞書を使って覚えたのが、この知識にあたります。この能力には、単語の意味を理解するだけでなく、上級者の能力として単語を分解して接頭語や接尾語の意味等も理解出来る能力も含まれます。
語彙習得の正しい順番は大きく分けて3つ
英語の語彙習得には、大きく分けて2つの知識が有る事を確認しました。一つ目が音と文字との関係を学ぶ一般的知識。二つ目が個別の単語に関しての意味等を覚える個別知識とでした。それでは、どちらを先に学ぶ方が効果的なのでしょうか。最初のアルファベットとパターンは、一般的知識になります。新しい単語や知らない単語が出て来ても、綴り方が分かる様にする知識です。意味は文字通りです。最後の意味は個別知識です。
①アルファベット
音を聞いて文字を思い浮かべる事が出来る様にする段階です。日本人緒私達が覚えておきたい事は大きく分けて2つあります。母音と子音です。英語が聞き取りにくい最も大きな要因は、音の違いにあります。その最も小さい単位の母音と子音をしっかりと覚えて使いこなせればリスニング能力も飛躍的にあがります。
母音を覚える。
日本語と異なり、英語は母音が場所によって音が変化する言語です。先ず始めに、そして最も効果的に進める方法は、英語の短母音を集中して覚える事です。
例えば、catとcakeを例にとって説明します。catならば、エとアを合わせた様な日本語にない発音をします。一方cakeの場合は、普通にエイと発音しています。同じaなのに場所によって発音が変わっています。catは短母音、cakeを長母音と呼びます。
一番基礎の部分を集中して覚える事で、もっとも効果的に結果を出せるのです。私達日本人が覚えたいのは、最初の短母音を覚える事をオススメします。
子音も覚えましょう。
日本人に苦手な子音は多く有ります。特にR/L の音を聞き分ける事もここでは大切になります。ほかにも、th/s の聞き分け等も重要です。
外部リンクになりますが、私がオススメするサイトを特別に紹介します。
http://soundsofspeech.uiowa.edu/english/english.html
アイオワ大学の音声学サイトです。
単母音と長母音なら画面右上のvowelsでmonophthongsを押して音を確認出来ます。
子音は画面左上のconsonantsの薄紫と濃い紫のボタンです。
②パターン
アルファベットの段階で紹介した、cat と cake の単語は、実はパターンが存在します。この段階では、母音がいつ短母音に成るのか長母音に成るのかを見分ける方法を身につけます。幼児英語教育に興味がある人は聞いた事があるかもしれませんが、フォニックス(phonics)などがこのパターンを覚える段階でよく使われる勉強法です。
少し余談になりますが、もともと現在の英語はOld Englishと呼ばれる言語がもとになっていました。しかし、あるときにイギリスはフランスの侵略を受けてフランスの支配を受けた時期が存在します。ノルマン•コンクエストです。世界史を勉強した人には懐かしいかもしれません。その結果、英語はフランス語の影響を受ける事になります。英語のスペリングがややこしいのはこれが原因の一つです。
第一段階のアルファベットで、短母音や長母音の音と文字との関係を覚えておくと、パターンの段階ではスムーズに進みます。
③意味
単語は、大きく分けて3つの部分で出来ています。初めに接頭語があって、次で単語の語幹が有って、最後に接尾語があります。それぞれに役割があります。それもしっかりと覚えて行くのがこの段階です。私達が勉強して来た最も馴染みの深い段階です。
代表的なもの
prefixe(接頭語)mis, pre, re, dis, ex, en, oct, multi など
suffix(接尾語)ly, less, ful, ness, er/est, tion, sion, ity, ible, able など
まだ余裕があるひとは、Greek root とLatin root も知っておくと、新しい単語や知らない単語に出会った時にも、意味を推測するのに役立ちます。
代表的なもの
Greek root (ギリシャ語の接頭語)aer(意味-air), bio(意味-life), geo(意味-earth), homo(意味-same)など
Latin root (ラテン語の接辞)dic(speak), aud(hear), terra(earth), ven(come) など
ここで大切なのは、辞書を使って単語の意味を覚える事です。ただ、もう少し踏み込んで覚えておきたい事がいくつか有ります。先ず、単語の派生語を覚える事です。つまり、その単語が動詞ならば、名詞や形容詞、さらには副詞がないかも調べておく事です。
次に、単語の同義語と対義語を覚える事です。初めの頃は、なかなか成果が上がらずフラストレーションがたまります。ただ、これをすることで意味を調べながらもパターンを同時に覚える事が出来るので、長い目で見ると格段に効果があがります。絶対にオススメなのでやってみて下さい。
それでもまだ余力がある本気な人は、英英辞書を使って例文も一緒に覚える事をオススメします。単語は知っているけれども、ライティングや会話で使えない事が多く有ります。英語にはコロケーションと呼ばれる考えがあります。単語同士で仲の良いものがあるので、ある状況では好まれて良く使われる単語の関係をコロケーションと言います。英英辞書ではこのコロケーションを意識して書かれている例文が多く載っています。これを覚える事で、ネイティブの様な正しい使い方を身につける事が出来ます。
最後に:発音と語彙習得は表裏一体
ネイティブの子供達が語彙習得をする自然な順番は、音から入ります。音と文字との関係がしっかりしてくると、その色々なパターンを覚える段階に移ります。最後に、私達日本人にもっとも馴染みの深い意味の段階になります。英会話やリスニング等でも使える総合的な語彙習得にする場合には、語彙の一般的知識をしっかりと鍛えておく事がとても重要になります。意味だけでなく、音の一つ一つをしっかりと覚える事や、綴りの法則を覚えておくと使える知識になるます。
参考文献: Word Their Way| Donald R. Bear著| Pearson(2008)
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